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電子工作のはじめは空中配線、ランドによる配線や蛇の目基盤を使用することが多いと思います。最近ではブレッドボードを低価格で入手できるので試作や簡単な回路ならそれで事足ります。
しかし、簡単にパターンを再現させたり回路の小型化、ノイズ対策などを考えるとプリント基板を作ってみようという衝動に駆られます。
趣味のレベルでプリント基板を作るには、ペンや転写シールで生基盤にパターンを書いたり、薄い紙に書いたパターンを感光剤の付いた生基盤に焼き付けて現像する方法がメジャーでした。電子工作雑誌には感光基板用にケント紙に印刷したパターンが付いていました。
当局も感光基板にはよくお世話になっています。しかしこの感光基板は手に入れてからすぐに使用しなければならず、当局のような田舎の無銭家にとっては入手の手間と経費的に頭が痛いものでもあります。そこで基板製作方法についてネットで検索をしてみたところ、アイロンでパターンを移すことができる方法があることを知りましたので、早速試してみました。
この方法では、転写シートにレーザープリンタでパターンを印刷しアイロンで基板上に写し込むという方法です。この方法だと高価で生もの?の感光基板が必要ないのが魅力です。
使用感は、意外と良い・・・いや、良いじゃないの!というものでした。
作業に若干のこつが必要ですから毎回完璧!とはいきませんが、感光基板のような難しさもありません。
これからプリント基板を作ろうと思う方にはおすすめです。
この製品は
PCBマテリアルズドットコム が販売している Press-n-Peel ブルー です。
準備するもの
生基板 |
ベーク材やエポキシ樹脂などの板に薄い銅板を張り付けた板
不要な銅板を除去してプリント基板を作ります |
エッチング液 |
生基盤の銅板を溶かすのに使います |
転写シート |
Press-n-Peel ブルー
このページの主役です
レーザープリンターで回路パターンを印刷した後生基盤にパターンを転写することができます |
修正ペン |
回路パターンを生基盤に転写するときの転写ミスを修正します
専用のペンもありますが市販の油性マジックペンも種類によっては使えます |
レーザープリンター |
転写シートに回路パターンを印刷するのに使います
インクジェットプリンターは使えません
コンビニ等で持ち込み用紙が使えるコピー機ならOK(使わせてくれるかどうかは店に要確認) |
アイロン |
パターンを生基盤に転写するのに使います |
エッチング用容器 |
100YENショップのタッパー(樹脂製)で十分です
中で基盤を動かせる大きさが必要です(大きすぎるとエッチング液が多く必要になります) |
割り箸 |
エッチング液の中で基盤をさわるのに使います |
湯煎用容器 |
洗面器など樹脂製がよいです |
スチールたわし |
生基盤の表面を磨いたり転写した回路パターンを除去するのに使います |
フラックス |
完成したパターンの保護用 |
ドリル |
基盤の穴あけに使います |
いきなりですが作業に入ります。
まずはパターンを書きます。レーザープリンタで出力しますからPCで書いてしまうのが簡単です。
ソフトウェアは、寸法が正確に印刷できるものなら何でも良いのですが基板エディターを使うのがいちばん正確です。今回はPCBEを使って書きました。
パターンを書き終わったらいったんプリントアウトします。
ここで印刷前の確認です。
間違いやパターンの切れやパターン間の距離などをチェックします。
間違いがなければ転写シートに印刷します。
ここでのチェックは、印刷したパターンとともにプリンタの印刷濃度やノイズ(縞など)も確認しておきます。
それでは転写シートに印刷しましょう。
転写シートを大きいままプリンタの給紙口に入れても良いのですが・・・
もったいないです。
先ほどテスト印刷した紙にパターンよりも大きめに切った転写シートを貼り付けこの状態で印刷します。テスト印刷した紙を使うことで位置あわせの手間も省けます。
両面テープで貼り付けましたが、印刷される部分から外れるようにテープを貼ります。
転写シートにきれいに印刷できました。
できあがったパターンを生基板に転写します。
アイロンを強めに押し当てますのでしっかりした台の上で作業します。
もちろん凸凹のない作業台を準備してください。
はじめは、転写シートと基板がずれないように上から押し当てるように作業します。トナーが溶け始めると転写シートにパターンが浮き上がってきます。
この後も根気よくアイロン掛けしましょう。特に基板の縁の方は付きにくいのでしっかり作業をします。
これでもかというくらいにアイロンをかけたら(いい加減ですが・・ここは経験で)冷却します。基板は高温になっていますので、注意してください。
アイロンの熱で基板が反っている場合がありますので平らな板に挟んで重しをしておきます。
基板が冷えたら静かに転写シートをはがしましょう。
十分にアイロン掛けされていればきれいなパターンが基板にうつっているはずです。
うつしたパターンのチェックです。
まずは転写シートの印刷面を見てください。もし転写されない部分があれば黒いトナーが転写シートに残っているはずです。
必要があれば修正作業を行います。
マジックペンで基板のパターンを修正します。
生基板の縁ぎりぎりまで印刷するとどうしてもうまく転写されないところが残るようです。
いよいよエッチングです。
スーとエッチング液の中に滑り込ませて、あとは割り箸で基板を動かしながらエッチングします。くれぐれも周りに液を飛ばさないように・・!
エッチング用に使用する道具は、エッチング液により腐食しないものであれば大丈夫です。
当局の道具は、エッチング液用には基板が動かせる程度の大きさのポリエチレンタッパーを使用しています。これをお湯を張った深めのポリエチレンバットにいれて湯煎にします。どちらも100Yenショップで購入しました。
使用しないときは、タッパーの蓋を閉めて念のためポリ袋に入れて保管しています。
エッチング完了です。
十分に水洗いします。
スチールたわしで基板のトナーをはぎ取ります。
乾かしてからよりも水をかけながらの方が粉塵も飛ばないので良いようです。
きれいになったら水分を十分に乾かしてます。
ドリルで穴を開けてから基板をカットします。
パターン面に異物や気になる傷がある場合は,細目のヤスリで仕上げます。
アルコール等で表面をクリーニングしてフラックスを塗って完成です。
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